こんにちは。だんキチです。
僕は1人行動が大好きで、東京に住んでいた頃は1人で色んなところに行きました。
浅草、渋谷、下北沢、新宿…それぞれの「観光名所」や「ショップ」などを1人で回るくらい1人が大好きなのですが、その理由は…思うままに行動したかったからです。
ですが、当然友人と出かける日もありますよ?
しかし、ゆっくりと色々と見て回りたい時は必ずと言っていいほど1人で出かけていました。
そうして、その日も1人で百貨店に買い物をしに行ったのですが…ただならぬ気配を醸し出している「おじさん」を発見してしまったんですよ。
そのおじさんは登りエスカレーターの脇下で微動だにせず、ずっと斜め上を覗き込むように見ていたのです。
僕はその光景を目の当たりにし、こう思いました。
「おじさんのことを見学してみよう」
運よく、エスカレーター脇には腰かけられるソファーがあったので、僕はとりあえずそこに座りながらおじさんのことを見続けることに決めました。
そうして、僕はソファーに腰かけMP3に入れてあった織田哲郎の「いつまでも変わらぬ愛を」を、耳が張り裂けるほどの音量で聴きながらおじさんのことを見ていたのですが…あることに気がついたのです。
おじさんはパンツを覗いていた
まぁ大体予想はついていたのですが、おじさんはエスカレーターに乗る女性のパンツを覗いていました。
また、おじさんの服装はというと下はトレパンで上は赤いチェックのシャツ。
僕はその姿を見て…
「すごいよマサルさんにトレパン先生っていたな…」
このように思ったのですが、とりあえずおじさんの行動を終始見届ける決断をしました。
それは何故かというと、犯罪が起きてしまったら一大事!ということもありましたが、ただ単に恥じるべき行動を「恥」だと思っていないおじさんに興味をもったからです。
そうして15分くらいおじさんを監視していた時でしょうか、おじさんは驚くべきことにエスカレーター脇下で伏せながら上を覗き込み始めたのです。
僕は心の中で…
「随分と大胆なんだな…」
このように、少し関心しながらおじさんを凝視していたのですが…それがマズかった。
おじさんは凝視している僕の視線に気がついたのか、今にも「ほふく前進」で進み始めそうな体制で僕の方を見ていたのです。
「ヤバい!監視しているのがバレた!」
僕は少し焦りましたが「負けてはならない」と思い始め、逆に僕の方から目を合わせてやりました。
ソファーに腰かけ「いつまでも変わらぬ愛を」を大音量で聴きながら目線を合わせる僕。
今にもすごい勢いで「ほふく前進」を始めそうな体制で僕を見つめるおじさん。
この間10秒くらいでしょうか。
正直僕は、歯医者さんの「キュイィーン」や「圧迫面接」よりも苦痛だったのを、10年以上たった今でも覚えています。
「早く瞳を僕からそらしてくれ…もう限界だ。」
そう思った直後、おじさんの獲物がエスカレーターに乗り始めたのが幸いし、おじさんの体制は「ほふく前進」から「中腰」に切り替わり、僕へ向けていた視線は「獲物」へと移り変わりました。
僕は「ホッ」と一息つき、ソファーに深く座りながらMP3に入っている槇原敬之の「遠く遠く」を少し小さめの音量で聴き始めたその時です。
衝撃のクライマックス
僕がMP3の操作で夢中になっていたのがいけませんでした…。
少し目を話した隙に、おじさんはエスカレーター脇下から姿を消していたのです。
しかし、その代わり…僕の隣に座っていました。
僕はこの事実に気がついた瞬間、心臓がバクバクでおしっこを滝のように漏らしそうな心境に陥ってしまっていましたが、そこは冷静にひたすらMP3をイジり倒して動揺している自分を隠そうとしたのですが…
「さっき俺のこと見てただろ?」
この一言で、少しおしっこを漏らしてしまいました。
「いえ…見てません」
恐怖で言葉が喉につっかかりそうになりながら否定したのですが…
「いいや!見ていたよ!あなた!」
僕は物凄く怖くなり、「早くこの状況を回避したい!誰か助けて下さい!」と心の中で叫び、無言で手に汗をかきながらひたすらMP3をいじりまくっていました。
時間にしては1分程度でしょうか?
僕が沈黙を続けていたら、おじさんは定位置のエスカレーター脇下へゆっくりと戻って行きました。
「逃げるなら今がチャンスだ!」
咄嗟にそう思いましたが、すぐにその場を離れると…
「アイツやっぱり見てたんじゃねーか?」
…と思われるから、
「自分本当に見ていませんでしたー!」
…的な雰囲気を作り出すために、もう少し居座ることにしたんですよ。
その間にも、おじさんはエスカレーター脇下で「パンツチェック」している訳なのですが、徐々にイラついてきたんですよね。
なんでパンツ見ている人にこれほどまで「恐怖」を与えられなくてはいけないのか?!と。
考えれば考えるほどイライラが増してきてしまったので、すぐに立ち去ろうと席を立ったその時です。
おじさんが僕の方を凝視しながら歩み寄ってくるではありませんか。
僕はと言えば、その光景を目の当たりにして先ほどのイライラなんて吹き飛んでしまい、再び恐怖感に襲われてその場に倒れ込みそうになりましたが、早歩きで立ち去ることを決意。
スタスタスタ…傍から見ると、それはまるで競歩を思わせる歩き方だったと思います。
イチ,ニー…イチ、ニー…リズムよく右足左足を1歩1歩繰り出しながら百貨店内を早歩きで進行し、ふと後ろを振り向くと…
おじさんも早歩きをしていました。
2人揃ってイチ、ニー…イチ、ニー…。
おじさんと僕が仲良くイチ、ニー…イチ、ニー。
あぁ…こういう展開ね。
僕は何かを悟り、そのまま競歩スタイルで近くにいた警備員さんのもとへと一直線。
おじさんはというと、「これはヤバい」と思ったのか競歩スタイルの早歩きでコーナーを曲がり、どこかへ行ってしまいました。
それから僕は、この1時間の間に起こったことを全て警備員さんに話し、震える思いで小田急線に乗って帰宅したのでありました。
エスカレーターおじさん まとめ
僕は、この手に汗握る恐怖体験をして…
「変な人がいたらすぐに警備員や警察に知らせた方がいい!」
ということを学ぶことが出来、少し成長できたと思っています。
多分、この経験がなかったら「不審人物」を発見した際には、傍からずっと見ているだけの「逆不審人物」になっていた可能性があります。
しかしながら、東京って色んな人がいますよね。
僕はこの人生で、もう二度と東京で暮らすことはないと思いますが、旅行などで東京に行った際には探してみたいと思います。
トレパンを履き、赤のチェックシャツを着ながら「競歩」さながらの「早歩き」をしているおじさんを。
おしまい。
PS.この時は本当に焦って心臓が飛び出しそうでした。